友罪ラストシーンの意味は?”鈴木の表情の意味”が気になりますね!
薬丸岳さんの小説「友罪」が瀬々敬久監督の手で映画化されました。
主人公・益田純一を生田斗真さん、彼が出会った謎めいた青年・鈴木秀人は瑛太さんが演じています。
映画のラストシーンで響く益田の慟哭と、鈴木の表情が気になりました。
友罪ラストシーンの意味は?鈴木の表情の意味を徹底考察しました!
友罪ラストシーンの意味は?最後の言葉をネタバレ考察
鈴木(瑛太)のラストシーンが、今までに見たこともないような未知の表情で、どう受け取ればいいのか悩みますよね。
”空虚”ととれるかもしれないし、彼の中に”これまでにない何かが生まれた”ととれるかもしれない…この表情については明確な答えは出せず、視聴者に投げかけられ、ゆだねられていると思いますし、また、それで良いのだと思います。
友罪ラストシーンのあらすじ
鈴木は、ジャーナリストだった益田が書いた原稿を元カノの記者・杉本清美(山本美月)が週刊誌に載せてしまったことから、周囲に殺人犯だったことがバレて姿を消してしまいます。
そして、つい先日発生したばかりの類似した事件は、別の人間による犯行だったことが判明しますが、清美の記事の情報は拡散され続けたのです。
「みんなと出会えて、本当、良かったと思ってるんだ、ありがとう」という言葉を残した鈴木の笑顔を、益田は正視できませんでした。
益田は、自分が見捨てた友達の学が17年前に自ら命を絶った場所に向かいました。そして鈴木も、同じころに子供を手にかけた事件の現場に立っていたのです。
どちらも、自分の罪をかみしめてたたずんでいました。
益田は心の中で鈴木に語りかけます。
『僕が学を殺した。それが僕の罪だ。
そしてまた、君にも罪を犯してしまった。
どうしても来られなかったこの場所に…来なければいけなかった。
どうしても、死なせたくない友達がいるから。
今度こそ、死なせたくないから。
生きてて欲しい。友達だから』
___そんなラストシーンを経て。
本作における最大のテーマ=”友罪”とは、「友達を裏切る」ことの罪だと考えます。
鈴木の表情の意味とは?原作のラストや監督のコメントから…
益田は、かつて保身のために友達だった学を切り捨てて死なせてしまいました。
彼がジャーナリストの仕事を失ってどん底だったときに知り合った鈴木と少しずつ親しくなっていったプロセスで、鈴木がリラックスしていく瞬間が垣間見え、その表情を瑛太さんが体現しているのが素晴らしいです。
しかし、それが益田のせいで壊れてしまうのです。
また居場所を無くしてしまった鈴木は、自分の過去の事件の現場に立ちます。
時を同じくして、益田もまた、かつて学が亡くなった場所に向かいました。
それは、もう”友達”を裏切りたくないからという気持ちだったのでしょう。
なによりも、益田は鈴木に”生きていて欲しい”と願っていました。
絶望のどん底に、わずかに光が差したようなラストシーンであったと感じます。
変えられない過去や罪から逃れたい、幸せに生きたい、と願う、人間として当たり前の感情___その全てを吐き出すような益田=生田斗真の慟哭と、対照的に顔をくしゃくしゃにして噛みしめている鈴木=瑛太の表情は飲み込んでいくようで、凄まじかったです。
それは、観る側に沢山のことを問いかけているかのようです。
戸惑った、答えが見えない、といった意見も多々あります。
「鈴木のラストシーンに戸惑った。おそらく、私の中にはない感情だったから」という感想もありました。
それで良いのだと思います。
益田と鈴木は、よく似た、しかし違う場所でラストシーンを迎えます。
死なせたくないと強く念じた益田の想いは、鈴木に届いたのでしょうか。
それは彼らにしかわかりません。
原作では、ラストに益田が本名で鈴木に向けた手記を発表しました。
既に姿を消してしまった鈴木への連絡手段がなかったからです。
そのなかで、益田は鈴木に向けて語り掛けます。
「もう一度きみに会いたい」
そして、罪と償いについて説き、最後にこう綴るのです。
「それでも、きみと再び会うことができたなら、絶望的なほど形の見えない『償い』というものを二人で探し求めていけるなら、あの時の約束を果たしたい。どんなことが会っても、きみの友達でい続けるということを。」
それは、鈴木だけでなく、この作品を共有した全ての人に投げかけられている言葉なのだと考察します。
瀬々敬久監督も、「今作のようなことに出くわす可能性はゼロではないと思うんです。いざ自分の身にそういったことが起きた場合、どのように向き合えばいいのかということを問うべきなのではないかと」と述べています。
観て、この物語を、そしてラストシーンの鈴木の表情を、ただ感じてみることこそが大切なのでは、と思います。
友罪あらすじ
益田はとある町工場に就職しました。同じ日に働き始めたのは鈴木という寡黙な青年。二人は会社の寮でルームシェアをする間に、少しずつ親しくなっていきました。
その頃、彼らの暮らす町の近くで幼い子供が殺されるという事件が起こり、それはかつて日本中を震撼させた少年事件にあまりにも似ているとマスコミが騒ぎ始めまたのです。
元ジャーナリストだった益田はその事件を調べるうちに、ネット上に流出した少年Aの顔写真が、鈴木のものだったことに気づきました___。
益田は、中学生の頃に仲良くしていた友達の学を見捨てました。
いじめられていた彼を、最後に突き放してしまったことが原因で、学は自ら命を絶ったのです。
今は病に臥せっている学の母のもとを訪れることで自らの罪をあがなおうとしていた彼でしたが、「あなたはいつまでも正しい人でいてね」と言われて顔を上げることができません。
やるせなさでいっぱいだった益田は、鈴木を誘って公園で酒を飲みました。
そこで初めて、鈴木は自らが犯した殺人の罪を告白し、益田にも抱えていることを教えて欲しいと言うのです。
とっさに、益田は「お前は自分のことばかりだ」と口にしてしまいます。
被害者のことを考えていない、と憤ったのです。
鈴木は、益田が差し出したナイフをとりあげ「もうやらない」と言うのです。
益田は失ってしまった命のことを考え、しかし、それでもまだ生きている自分たちはそれを「抱えて」生きていくしかないのだと説きました。
「だから、やっちゃいけないんだよ」と鈴木は返します。
「死んで償うしかないって、そうも思ってる。生きる価値なんかないって、だけど、俺、生きたいんだよ…あんなひどいことしといておかしいんだけど、心の底じゃ、すごく生きたいと思ってる…酷いよね、俺、ほんと、酷い…」
その時、二人の間には奇妙な友情が生まれつつあったのです。
友罪ラストシーンの感想や口コミ、評判は?
瑛太の、何とも言えない…目が離せなくなる存在感と。
生田斗真の吐き出す生々しさの対比が凄いです。
まさに”観続ける価値”。
そして投げられた問いを受け止めて、それぞれが考えることが大切なのでは、と思います。
このあと、益田と鈴木はどうなるのか、それは未知数。
それでも…益田の想いが鈴木に届いてくれたら、きっとそれは互いの”救い”になるのでは、と思います。
友罪ラストシーンの意味は?最後の言葉をネタバレ考察まとめ
・益田純一(生田斗真)は元ジャーナリストで、就職した町工場で鈴木秀人(瑛太)に出会い、親しくなりました。
・鈴木は少年時代に子供を殺す凶悪事件を起こし、その過去が益田の書いた記事から世間に暴かれ、鈴木は居場所を失い、姿を消しました。
・益田は「どうしても死なせたくない”友達”がいる」と独白します。
主演の生田斗真さんの演技も素晴らしいのですが、鈴木役の瑛太さんの演技もものすごい今作「友罪」。
先日NHKプレミアムで放送されていた「風よあらしよ」での演技も素晴らしく、とても鈴木と同一人物がやったとは思えませんでした。
現在再放送の予定は発表されていないのですが、U-NEXTでNHKオンデマンド1ヶ月間無料で視聴できます。
友罪も2022年9月現在配信を行っているので、友罪を見返すのにもU-NEXTはおすすめです。
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2022年公開予定の生田斗真さん主演映画「渇水」も重くておすすめ!
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